~商店街~
あれから、一週間が過ぎた。
ニートとのセ〇レ関係は、私が思っていた以上に長く続き、違う意味で私の体は満たされていた。
ちなみに、私の愛するリア充さんは、会社から緊急招集が掛っていて、最低でも一ヶ月は帰ってこない。
しかも、その事をニートとセ〇レ関係になる前に突然言われ、私は激しく動揺してしまった。
ああ、なんて私はついていないのだろう・・・
私の愛しのリア充さんには浮気され、更には、ニートとセ〇レの関係になった。
まだ、それだけならまだ良い。
最近、楓が私に冷たくなった気がする。
なんとなくだけど、私と顔を合わす度に、切なそうな顔をしながら私の顔を上目遣いで見つめてきたりする。
ああ、やっぱり、気付かれたのかしら?
あの子、ニートの事になると感が良いし、それに由衣も由衣でそわそわしてる。
しかも、何を思ったのか由衣は、私の自宅の空き室に実家から荷物を運びだし、私の自宅の空き室に自分の荷物を運んでいる。
しかも、衣類だけならともかく、学校に必要な物まで・・・
これって、明らかに私の家に引っ越しますと言っている様なモノよね?
いくら、私と由衣の両親が同級生だからと言って、由衣のこの行動を許可したのはどうかと思う。
まぁ、由衣は由衣で色々あったし、今回ばかりは仕方ないか。
私は、そう心の中でそう思いながら、私は商店街を歩いていく。
ここで、一通り買い物を済ませ、自宅に帰るつもりだからだ。
だが、私のこの予定を狂わす大きな出来事が起きた。
何故なら、ここで私にとって意外な人物が、私の前に現れたからだ。
私は、自分自身を抑えながら、その人物の元に近寄る。
一応、平静を装っているが、いつ感情的になるかは分からない。
だが、ここで騒を起こすわけには行かない。
ここで、下手に騒げば私が負けるのだから。
紅葉『お久しぶりですね。ナツメさん』
紅葉『まさか。こんな所で会えるなんて、私は思いもよりませんでした・・・』
フリアエ『あら? 貴方な紅葉さん・・・』
フリアエ『どうして、貴方がこちらに?』
紅葉『それは、お互い様ですよ』
紅葉『聞く所によると、貴方はイギリスにいるはず・・・』
紅葉『それに、何故、貴方はあの頃のままの姿でいられるのですか?』
紅葉『私としては、かなり疑問なのですが・・・』
フリアエ『・・・』
私は、今自分の目の前にいる自分にとっては腐れ縁のヤリマン女に対し、話しかけるや攻撃的な態度に出る。
だが、私の目の前にいるヤリマン女は、最初は私の顔を見るやいなや驚きの表情を浮かべるが、それも一瞬だけで終り、すぐに余裕の笑みに戻ってしまった。
さすがに、私もこの反応はいらっときたが、ここで騒を起こすわけにもいかず、必死に理性を抑える。
すると、今度は向こうから私に対し、こう切り出してきたのだった。
フリアエ『そういう貴方も相変わらずみたいですね・・・』
フリアエ『それに、どういう訳か、私に対する記憶が残っている・・・』
フリアエ『これは、少し、ややこしいですね・・・』
紅葉『え?・・・』
フリアエ『とりあえず、紅葉さん。場所を変えましょうか?』
フリアエ『私、貴方に大事な話があります』
フリアエ『とりあえず、近くの喫茶店にでもどうですか?』
フリアエ『貴方に、どうしても話しておかなければならないのですよ』
フリアエ『それも、貴方の大事な大事な妹の楓さんの事です』
紅葉『!?』
私は、耳を疑った。
どうして、この人は私に妹がいる事を知っていて、更には、私の妹の名前を知っているの?
私、一度でもこの人に楓を会わせてもいないし、一度も楓の話をした事はない。
なら、どうして?
どうして、貴方は楓の事を知っているの?
ねぇ、どうして?
私の中に、そんな疑問が渦巻いてくる。
すると、私の目の前にいるヤリマン女の手が、いつの間にか私の左胸に自分の手を当てている。
そして、今まで私が見た事のない不適な笑みを浮かべながら、私に向かってこう問掛けた。
フリアエ『よろしいのですか?』
フリアエ『もし、ここで私の話を聞かなければ、貴方の大事な大事な妹の楓さんは、ニートさんと結ばれてしまいます・・・』
フリアエ『貴方がどれだけ拒絶しても、貴方の大事な大事な妹の楓さんは、ニートさんに身も心も捧げてニートさんに従順な奴隷に成り下がってしまいます・・・』
フリアエ『もし、それが嫌なのでしたら、私に着いてきて下さい』
フリアエ『私は、貴方の味方ですから・・・』
紅葉『は、はい・・・』
フリアエ『では、行きましょうか・・・』
紅葉『・・・』
そう言うと、ヤリマン女が私の胸に当てていた手をどけて、私を連れてどこかへと歩き出す。
さすがの私も、今までこの人のこんな顔は見た事なかった。
さすがに、今回ばかりは今目の前にいる人物が怖くなってしまい、相手の腕を掴む事も悲鳴すら上げる事も出来なかった。
更に、いつの間にか、私達の周りにいたはずの人々が消えていて、余計に不気味な雰囲気が出ている。
しかも、いつの間にかシャッターまで閉まっている。
ああ・・・
もしかして、今日、私は死ぬのかしら?・・・
もしかしなくても、これは死亡フラグなのよね?・・・
ううっ・・・
最悪の場合は、生きて帰る事が出来ないのかもしれない。
生きて、楓の元に帰れないかもしれない。
私は、もしもの自分の身にふりかかる最悪の事態を想定しながら、ヤリマン女に連れられて無人の商店街を歩き出す。
私は、色々と複雑な気分になりながら、ヤリマン女が案内した喫茶店の前に着いたのだった。
フリアエ『この喫茶店です』
フリアエ『ここは、ニートさんの御自宅にも近く、貴方の御自宅にも近い』
フリアエ『それに、ここは個室もありますので、貴方と二人でお話するのにも丁度良いですね』
紅葉『そうね・・・』
フリアエ『では、入りましょうか』
フリアエ『今更、逃げるのはなしですよ』
フリアエ『もし、ここで貴方が逃げたのなら、楓さんはニートさんと結ばれてしまうのですから』
紅葉『・・・』
またしても、喫茶店の前に着くやいなや、私の大事な大事な楓の名前を出してくる。
この人、どうやらただ者じゃないみたいね・・・
それに、ここが私の自宅にも近いことすら知っている。
これは、私にとっても楓にとっても、かなり危険だわ・・・
なんとかして、楓を救わないと・・・
私は、楓を救いたい一心で、ヤリマン女と共に喫茶店の中に入っていったのだった。
~喫茶店内・個室~
私達は、喫茶店内に入った。
私達が入るやいなや、どういう訳か店員は私達を二階の個室に案内し、頼んでもいないのに私達の分の紅茶を出してくる。
もしかして、これは最初から仕組まれていたのかしら?
何者かによって、私とヤリマン女がここに来る様に仕向けたのかしら?
だとしたら、このヤリマン女達の目的は何?
全くと言って良い程、ヤリマン女の意図が分からない。
全くと言って良い程、分からない。
そんな風に私が思っていると、気が付いた時には私はヤリマン女と同じテーブルに座り、紅茶を飲んでいた。
なんか、どこからかグレープフルーツの香りがしてきたなぁ・・・
一体、どこからかしら?・・・
フリアエ『うふふっ・・・どうやら、ようやく落ち着かれた様ですね・・・』
フリアエ『それでは、さっそくですが、本題に入るとしましょう』
フリアエ『まずは、これを見て下さい』
紅葉『・・・』
そう言うと、ヤリマン女が私に数枚の写真を私に向けて提示する。
その写真を見て、思わず私は今にも泣きそうになってしまった。
フリアエ『どうやら、紅葉さんは前回の記憶が多少なりとも残っているみたいですね・・・』
フリアエ『それに合わせて、無意識の内にニートさんとセ〇レの関係に至った・・・』
フリアエ『これにより、貴方は貴方の大事な大事な妹の楓さんを救う事は出来ますが、お可哀想に貴方はご自分の幸せを犠牲にしてしまった』
フリアエ『これが、どういう事かお分かりになられますか?』
紅葉『いいえ・・・』
フリアエ『そうですか。なら、貴方にある判断を委ねます』
フリアエ『今から私が出す写真に写った人物のどちらかを一人選んで下さい』
フリアエ『ですが、貴方に選ばれなかった方は、不幸な末路を辿ります』
フリアエ『ですから、貴方に選んで頂きたいのです』
フリアエ『それで、貴方は誰を選ぶのですか?』
フリアエ『どうか、それを今ここで、私にお聞かせ下さい』
紅葉『・・・』
私は、かつてない程、大いに迷ってしまった。
気が付いた時には、虚ろな目をしながら涙を流している私の前に、ヤリマン女が二人の人物の写真を置く。
その二人の人物の写真は、私の愛する恋人であるリア充さん・・・
後もう一人は、私の大事な大事な妹の楓・・・
今の私からしたら、この二人はとても大切な人物であった。
けれど、私はここで決断をせねばならない。
今ここで、どちらの人物を選ぶかを決めなければならない。
私は、最初に出された写真を見る。
その写真には、私に選ばれなかった時の二人の末路が写されていて、特に楓のは酷い有り様だった。
もし、楓がニートと結ばれた場合、楓はニートに身も心も何もかも捧げ、ニートに従順な奴隷に成り下がる。
そして、ニートに好き放題使われた挙句、恋人から奴隷にまで降格させられ、ニートに平然と浮気されただけでなく、消耗品の様に使い捨てられる。
私としてみれば、楓をそんな風な目には会わせたくはないし、絶対に、ニートに楓をそんな風にはしてほしくない・・・
更には、私の頭の中で約五年後の楓の変わり果てた姿が脳裏に焼き付いてしまい、本来なら覚えているはずのない楓の堕ちた姿が何度も何度も私の頭の中で浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返している。
そんな時、この私の今の心境を見透かしたのか、私と向かい合う様に座るヤリマン女が、ポツリとある事を呟く。
そのヤリマン女の呟きは、私からしてみれば悪魔の囁きであった。
フリアエ『この世界は、リセット出来る・・・何度でも・・・』
紅葉『!?』
フリアエ『どうかなさいましたか?』
紅葉『・・・』
フリアエ『紅葉さん?』
紅葉『・・・』
リセット・・・
それは、全てを捨てて最初からやり直す事・・・
それは、ゲームだけにしか通用せず、現実世界には全く通用しない・・・
けれど、このヤリマン女は言った。
『この世界は、リセット出来る・・・何度でも・・・』
この台詞が、私の頭の中に何度も何度も木霊していき、私の思考を奪っていく。
それに合わせてなのか、ヤリマン女が再び私に誰を選ぶのか再度問掛ける。
私は、知らず知らずの内に自分が流していた涙をポケットの中に入れていたハンカチを取り出し、そっと、涙を拭く。
そして、私の前に置かれていた紅茶を飲み、目の前にいるヤリマン女に向けて、私はこう問掛けた。
紅葉『あの、一つ聞いても良いですか?』
フリアエ『何でしょうか?』
紅葉『どうして、貴方は私にこの事を伝えたんですか?』
紅葉『私には、未だにそれが分からないんです』
紅葉『そろそろ、貴方の意図を聞かせて貰えませんか?』
フリアエ『・・・』
私のこの質問がいけなかったのか、目の前にいるヤリマン女が黙り込む。
だが、すぐに、何かを英語で呟くと、近くに置いてあった鞄から、ある数枚の写真を取り出し、私に提示した。
その写真に写る人物を見て、私はようやくこのヤリマン女の意図が分かった。
むしろ、不覚にもこのヤリマン女に親近感が沸いてしまった。
フリアエ『この私の横に写る写真の人物、貴方もご存じのはずです』
フリアエ『私にとって、この人物は義理の妹の様な存在であり、私も貴方同様にある男性から大切な者を守りたい』
フリアエ『貴方となら、この想いを分かち合えると思い、私は貴方に今回の話をしたのです』
フリアエ『再度、貴方に問います』
フリアエ『貴方は、恋人と実の妹のどちらを選びますか?』
フリアエ『今ここで、私に答えを聞かせて下さい』
紅葉『・・・』
私は、ヤリマン女に言われるがまま、リア充さんと楓のどちらかを選ぶかの選択に取り掛かった。
今の所、分かっているのは二人の不幸な結末と、ヤリマン女の意図。
そして、私にリア充さんと楓のどちらかを不幸にするかの選択権があり、今私がいる世界は何度でもリセット出来ると言う事。
私は、迷わず楓の写った写真を手に取り、楓の写った写真をヤリマン女に手渡す。
そして、私は楓を選ぶと伝えると、ヤリマン女は爽やかな笑顔を浮かべたのだった。
フリアエ『やはり、貴方は妹さんを選ばれましたか』
フリアエ『これで、貴方の大事な大事な妹の楓さんは、貴方によって救われます』
フリアエ『今回は、苦渋の決断をして頂き、ありがとうございました』
紅葉『いえいえ、どう致しまして』
フリアエ『それと、これを貴方に渡しておきましょう』
フリアエ『妹さんの事が大事なら、帰宅した後、すぐに食べさせて下さいね』
そう言うと、ヤリマン女は私にある花の蕾の様な形をした袋詰めのお菓子の様な物を、私に手渡してくる。
これをヤリマン女から受け取った後、私はヤリマン女に質問をした。
紅葉『あの、これは?・・・』