罪人が幻想入り 13

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Extra.8
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「幽々子様!」



背負っている半霊の妖夢が遠くから白玉楼を見るなりそう叫んだ。あたいの耳の近くで叫んだため、あたいの耳は少々の耳鳴りがなり続けた。



鴉天狗の射命丸が一足先に白玉楼の庭園に着地すると、あたいも同じように着地をする。


目の前のふき出しの廊下にはかの有名な冥界の姫こと西行寺幽々子がのんびりと足をぶら下げていた。



「お帰りなさい、妖夢。そしてありがとう、お二人さん。」


にっこりと微笑まれる。その笑顔は表も裏もないただの純粋な笑顔だった。



「幽々子様!どちらに行かれてたのですか?」


あたいの背中に乗っていた半霊は、即座に降りて西行寺の所に駆け出していた。

まったく、礼の一つや二つほしいもんだ。


「ん~、ちょっと人里にねぇ。」


そのちょっとの中にひゅうが出くわしたのか、なんと不運なやつ。と、まだ捕まったと断言できないが一応言ってみる。



「昔から言うでしょう、ほら、早起きは三文の得って。」


「ですが、今は弱っている身。何かあってからでは困ります!」


必死に注意を呼びかける妖夢。日々こんなことを言っているのかと思うと、ちょっと申し訳ない気が。


今度から映姫様を困らせないようにしよう。うん、そうしよう。



「でもね、妖夢。いいものを見つけちゃったのよ。後ろの部屋にいるわ。」


と、ちらりとこちらを見られる。と、あたいも当初の目的を忘れかけていた。


「ごめんなさいね、勝手に持ち出しちゃって。」


「ま、まぁ、彼が無事みたいなんで」



今度は裾で顔下半分を隠しながらにっこりと微笑まれる。


「けどちょっと頼みたいことがあるの。天狗もよろしいかしら?」



あたいと文で目を合わせながらも、戸惑いつつ西行寺の元へと近づく。



「………っ!どうした!?」



とその時、中から妖夢の声が聞こえた。


その声にはもちろん、外にいるあたいたちにも聞こえた。


その三人とも、中の様子を見るべく中へと入る。



するとそこには、横たわっている人間、柳下ひゅうが刀を握ったまま倒れていた。



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Extra.8 end
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幽々子さんが出て行った後、俺は再び刀を握ってみる。



実際、時代劇でしか見たことがないのだが、本物の刀は実際に持つと結構重いものである。


あんなに軽く振るにはそれ相応の体力と力が必要になるだろう。



それにしても、この刀は不思議である。その刀本来の重さとは別に、何か違う特別な重みがこの刀にのしかかっている。



それも踏まえて、この刀の持ち主である妖夢さんはすごいと思う。いや、いろんな意味で。


そんな刀が抜けなくなるというのは、少々かわいそうなものである。多分その人にとっても多分愛用の刀だと思う。そんな刀が抜けなくて、さらには触れない状況だとするとそれは宝物を取り上げられるような気分なものだろう。


と、その妖夢って人がどんな人かもわからずに俺は勝手なことを言い始める。



それにしてもすごいデザインである。この鞘といい、なかなかいい刀だと思う。


マジマジと見ていると、いつの間にか俺は刀を手にとって見つめていたらしい。


ふと気付くと俺は刀を両手で握っていた。


いやはや夢中とは恐いものだ。前に触れていた時に感じた寒気がなかった。


そんな時、思い出してしまったせいだろうか、再び寒気が俺を襲う。


少々気味が悪かったのですぐに床に置くことに。



「――あれ?」


置くことに、置くことに……

あれ、取れない。



俺は刀を離そうとはしなかった。いや、離すことができなかった。



ぞくっ!……


すさまじい寒気だ、まるで背中を大きな舌で舐められている感じがした。



それよりも、俺は刀を握ったまま、離すことができなかった。


握った右手が言うことを利いてくれない。


するとその瞬間、またもやあの闇に連れ去られた。


けど今度はそれほどは寒くなかった。



俺は周りをきょろきょろ見回す。やはり何にもない。真っ暗だ。


けど、今まで違うのは手が見えること。上半身が見える。


何故だか知らないが、上半身だけがライトを当てられてかのようにくっきりと見える。


下半身は見えないが、動かしている感覚は残っている。ちゃんとあるみたいだ。




しかし、いつも思うがここの空間はなんなのだろうか。不思議なものだ。




「知りたいかい?ここについて。」



と、目の前から声が聞こえる。ちょっとばかり若い声だ。




「君がここに来る理由。それについて、知りたいかい?」



俺は少し戸惑いながらも声の方向に向かって「おう。」と答える。




「……けど、それなりの覚悟が必要だよ。君はその覚悟ができていない。」



俺はどんな覚悟が必要なのかさっぱりわからなかった。自分を知るために何の覚悟が必要なんだろう。




自分を、知る?


おいおい、もちろん自分のことは覚えているに決まっているじゃないか。


何を言いだすんだ、まったく。




「だから、君にはまだ教えない。教えられない。」



一方的に話を進められ、反論の余地もない。俺は何かを言い返そうとしたが、次の瞬間に目の前にテレビ画面みたいな四角く映像が映し出された。



その中では、白髪の女の子と、紫染みた赤い髪の毛の女の子がなにやら画面の近くで焦りを見せた表情でこちらを見つめていた。



「では、この子達の名前を思い出せるかい?」



………


あれ?


おれは、


この子、


赤髪の子は、


知っている。


名前も、

知っている。


なのに、


思い出せない。



「………やっぱり、まだまだ君には早すぎたかもね。ほら、最後に彼女達に言い残したことはあるかい?」



……


何でだろう、何故か思い出せない。


けど、思い出せないといったら彼女は絶対傷つくだろうと思う。



だから俺は素直に「ゴメン」と呟いた。



「………さぁ、今回はゆっくりおやすみ…今度は思い出せるといいね……」




すると、その画面は消え、いきなり俺に睡魔が襲ってきた。



瞼を閉じかけたその時、俺は最後に誰も見えないところにこう言った。



「君は……一体……」



「……僕は……」






少年の声を聞く前に、俺は瞼を閉じきってしまった。




すぐに目を覚ますと、そこはいつもの天井だった。






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匿名読者
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