罪人が幻想入り 10


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Extra.5
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「ひゅう知らない!?」


あたいは台所に入るやいなやすぐにこう叫んだ。それはもう声がガラガラな声で。



「あぁ、私が目覚める前にはいなかったよ。」


ぼさぼさ頭のあたいを見てくすりと笑いながら、えらく余裕な様子で団子をこねている店主。


「言われる前に言っとくが私はお前さんを起こしたからな。結構揺らしても起きないものだな。」



言おうとした事を見透かされ言い返される羽目に。自分自身なんだか恥ずかしくなってきた。



「寝ぼけながらもう一度寝たお前さんが悪い。おそらく彼はそこら辺を歩いているんじゃないかなぁ。今日はいい天気だし。」


そうだ、あたいはこんなところで止まっている場合じゃなかった。あたいは振り返り急いで玄関に向かおうとしていた時、店主があたいの名前を呼んだ。


「空腹じゃ何かとアレだろ?こいつを持っていきな。」


そう言いながらあたいに布袋を投げ渡す。


中には大福と小さな串なし団子が三つくらいあった。


「早く行ってきな。朝飯作っておくよ。」


あたいは布袋の口をギュッと握り締め「ありがとう!」と一言を残して玄関を飛び出し、すぐさま空中にへと飛び立った。


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Extra.5 End
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(一度くらい私の名前を呼んで欲しいな……あたしだってかずみって名前が……)

それはまた別の話。


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「あのぅ、連れてこられたのはいいのですが……」


「なーに?」


「何で俺が朝食を作っているのでしょうか。」



そう、俺はあの後、この人とこの人の家と思われる場所に案内された。

案内されたというより、半分以上は勧誘だと思うのだが。


それより、俺は森の中でいろいろとこの人から話を聞けた。まず、そこから話をしたほうがよさそうだ。


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俺はしばらく黙ってこの人について行った。


もはや人ではないのは覚悟していた。もう悠然と宙を浮いているし、ほんのり透けて見えている。


おそらく、俺の独断でこの人は幽霊なのだと決め付けていた。


俺は、心の中で小町の早い救出を願っていた。


「そういえば何故貴方はあんなところをうろついていたのぉ?」


身体もふわふわ浮いてるように言葉までふわふわしている。結構天然さんなのかもしれない。


「い、いぇ、どうして言われても、ちょっと気分転換に散歩を……。」


「そう言えば自己紹介がまだだったわぁ。」


もうさっきの話題はなしですか。

と、彼女はすぅ、と地上に降り、深く一例をし始めた。


「私、西行寺幽々子と申します…ただの幽霊です。どうぞ宜しく。」


そんな彼女の行動を目の前にした俺は唖然と彼女を見るしかなかった。


彼女は気品のある人で、礼儀正しく、俺はさっきの一面で脅された時と同じようで違う鳥肌が立った。


この人は―――強い。見てるだけで身体が凍りつきそうになるくらい冷たい瞳だ。

そんな感じがして、俺はなんとなく小町と合わせたくない気持ちになった。


「――ふぅ。さぁ、貴方の番よ。」


と、顔を上げたと同時に何処から取り出したのか、扇で口元を隠しにっこりと笑顔を見せながら、俺は自己紹介を求められる。


俺は、簡単に自己紹介を済ますと、幽々子さん(心の中でもさんをつけないとなんだか落ち着かない。)はにこりと笑い、「さぁ、行きましょう」と再び宙を浮遊する。


俺は本当に幽霊だったことに驚きはしなかった。なにせ、俺自身も幽霊なのだから。


なんとなく、俺はこの人と近い存在になれる気がした。


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で、俺は家に招待されるとすぐに台所に行かされた。


まず、ただの幽霊なのに普通の家に住んでることに驚きだし、何より食事を普通に取っていることに驚いた。


確かに、俺も腹は減る。幽霊もやはりお腹が空くのだろう。現に俺がそうだ。


だからといって、何故ここの家主でない俺が食事を作らなくてはならないのか。



「今は妖夢がいないから貴方が作って頂戴。」


妖夢と呼ばれる人はこの人の付き添い人なのだろうか。ならばすぐに帰ってきて欲しい。



「その……妖夢さんは今何処に?」

「知らないわ、そんなの。」


あっさり返される。あの時の鳥肌は何処に行ったのだろう。なんだか今なら小町を呼べば簡単に脱出できそうな気が……


だが、俺一人では何にもできん、できることといえばこの人?幽々子さんに料理を作ってやることしかできない。




こうして冒頭に戻るのだが。ちなみにこれと似た質問をかれこれ5、6回繰り返している。


「今日は涼むわね~。」


そして5、6度目の失敗。本当、この人とは近い存在になれそうな気がしていたのだが、今ではかけらも感じない。俺ではかみ合わないだろう。


仕方ないので、口より手を先に動かすことにした。


人並みにはできないが、お味噌汁とテキトーに魚でも焼いてれば幽々子さんも満足までは行かないにしてもお腹の足しにしてくれるだろう。


さて、と、手を鳴らし、お湯を温めることに。


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Extra.6
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あたいは空高く飛び立った。ひとまず、彼女から情報を得ることを考えた。


こんな朝早くに飛び回るといったら彼女しかいないだろうと思い、見晴らしのよい位置まで飛ぶことにする。


案の定、あたいは空を飛んでいた彼女に出会うことができた。



「あや?これはこれは、遅刻癖の小町さん。今日はお早いお出かけで。」


「うるさい。」


痛いことを突く彼女は射命丸 文。彼女は簡単に説明すると鴉天狗でもあり文々。新聞(ぶんぶんまるしんぶん)の記者でもある。


「で、どんなスクープですか?」


早速ペンとメモ帳を手にする所が仕事熱心というか憎めないというか。こいつの頭にはスクープしかないのか。


「ちょっと人を…幽霊を探していてね。」


文なら情報をいち早く嗅ぎ付けるのでも有名で、過去にあたいも仕事中に眠っていたのを激写され、すぐに四季様に大目玉を食らった事がある。


「ほぇ、人探しですか。」


なーんだ、とペンとメモ帳をしまう文。ちらりと見たが【意外!小町が早起き】と書かれていたような気がした。多少むなしい。


「なら、あそこにいるじゃないですか。」


文は、すぐに人里を指差した。まだ何処のお店も開いていない所を彷徨っているのは半人半霊の魂魄妖夢だった。


「いや、あたいの探しているのは男性の……。」

「おや、妖夢さんがこちらに気付きましたよ。」


あたいの言葉を無視して再び文が妖夢を指差す。妖夢はこちらに向かって手を振っている。


「ちょっと気になりますね。行ってみましょう!」

「あっ、ちょっと!」


やれやれ……と、あたいも後を追い妖夢の所に。


「どうしたんですか?」


どうも妖夢に落ち着きがない。何か大切なものでも無くしたのだろうか。

そういえば、いつも腰につけている刀が見当たらないが……まさか自分の武器をなくした訳じゃないだろう。あたいじゃないんだし。


と、文の質問に素直に返す妖夢。


「ちょうどよかった!射命丸さん!小野塚さん!幽々子様を知りませんか!?」


おーっと、これはもっと重要なものをなくしたなようだな。


すまん、ひゅう。つかまってくれるなよ。捕まったら終わりだぞ。きっと。



あたいは心の中でひゅうの無事を祈った。


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Extra.6 End
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匿名読者
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