俺たちはしばらく並木道を歩いていった。
歩いている最中、俺の手枷はおとなしく、何も問題もなく歩くことができた。
そんな道中、俺と小町は話が絶えなかった。
「いやぁ、ヒュウの話を聞いているとわくわくしてしょうがない。人間界に行きたくなっちゃうな。」
「あ、だったら今度いいお店紹介するよ。俺が出所してからね。」
俺は笑顔が絶えなかった。
今、こんなに楽しいと思ったのは久々だ。なんだか懐かしい気がしてきた。
俺は小町に自分が留置場にいることを証した。
だけど、小町は「そんなのは関係ないよ。第一、悪しき心を持つ外来人で四季様の目の前で平常心を保ってられる人はまずいないさ」と、一蹴。
続けて小町は「それに、ここにいるときくらい、のんびりしてくといいさ。」と、俺の背中をばしばしと叩く。
俺は、それなりに元気を取り戻し。落ち着くことができた。
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「そういえば、この…国?は平和なの?」
ふと、俺は思ったことを口にした。
「平和っちゃぁ平和だねぇ……よく異変とかはあるけど。」
それはどんな?と聞いたら、急に声が小さくなり、
「月は赤くなるし花が急に咲き乱れるし、天気が不安定になるし……。」
どうやら小町にはいいことは一つもなかったらしい。声も重く、見るからに落ち込んでいる。
「ま、まぁ、よかったじゃないか。それでも平和を取り戻したんだし」
それもあの巫女が……ぶつぶつ……と、かなり暗くなってる。
「ほ、ほら。げ、元気だして!あ、ほら、人里が見えてきた!行こう!」
すると、小町はひょいと顔色を取り戻し、人里にむかって駆け出した。
「えーい、やなこと思い出したら小腹が空いた!団子屋にいこう!」
小町は意外と足が速かった。
――――――――――――
俺たちは団子屋で休憩することに。
ここ、幻想郷でも日没、つまりは夜もあるらしく、俺は今晩はどうしようと相談を持ちかけた。
小町がふざけて「うちらにわまだ早いて〜」とくねくねと動いている。俺は「いや、まじめに」と突っ込みを、
「ん〜、へたしたら野宿。」
あー、やっぱり。
俺は想像通りでため息をつく。
「まぁ、普通の宿がいいのなら宿をとるけど……」
断然、そちらのほうがよろしいです。
と、そこに注文した団子が俺たちの目の前に置かれた。見るからにシンプルでまさに団子と呼べる代物だが、そこに興味を注がれる、単純という名の旨味がそこにある。
俺が詳しく目の前の団子について語っている間に、小町は軽く2皿平らげていた。
「どったの?食わんの?」
串をくわえながらしゃべりかける小町。映姫が見たら怒られるぞ。
「たべるよ…つか、お金は平気なのかい?」
俺は一口前に小町に聞いてみる。すると小町は笑顔で固まった。
「………」
「まさか…」
「………走って逃げるしか…」
「待て。」
言わんこっちゃない。てかよくお金もないのに宿に泊まれるとか大口叩いていたな。
「なぁーんて、うそ嘘。この通り。」
すると、懐からある袋が出てきた。多少生暖かい。
気になるその中身は、なんと硬貨だった。
「これは……まさか泥棒…」
「斬るよ。」
冗談を入れながら相槌。俺は素直に驚く。
「すごいね、これほんとどうしたの?」
俺はその硬貨の中身を取り出す。袋の中身はほんのり生暖かく…じゃなくて、硬貨そのものだった。
「ま、あたいは仕事でおわれる日々だからさ、お金使う機会があまりないのよ。(ほんとうは、しょっちゅう寝てばかりだから使う用途がない)」
ふむふむと納得。安心して俺は団子を一口。
「あ、誰もおごるって言ってないけど。」
俺は思わずむせてしまった。その姿を小町はくすくすと笑いながら見ていた。
――――――――――――
俺たちは団子屋を一先ず後にすることに。
実はあの後、団子屋の店主も交ざり、団子屋の中で賑わいながら話を続けていた。幸い、お客さんは少ししか居なく、そのお客さんに対してもちゃんと敬意を払った。
そんな中、店主は俺のことが気になったらしく、なんでも「今夜泊まり宿がない」と言っていたのを聞いていて、そこで店主が「うちの宿を使うといい」と太っ腹なことを言ってくれた。
さすがに悪いかなと思ったが、そこは素直にお誘いを受けることにした。
特に、小町と店主の相性がよくて、二人の会話を話を聞いていると、知らない人とかいっぱい出てきたが、聞いている分にはおもしろい内容だったと思う。
余談だが、その耳に入った会話に「包帯男」と「マスク男」と言う人物が出てきた。いったいどんな人なんだろう。
ちなみに、店主は女性である。俺より年上っぽく見えたが、その見かけによらず、団子は匠の味だった。
「いやー、しゃべったしゃべった。あんなに盛り上がるとわね〜。」
「小野塚さん、ずいぶん楽しそうだったね。」
まぁね〜、と頭のうえで手を組みながら歩いてる小町は、まだ楽しそうだった。八重歯というのだろう、そんなのが見えた気がする。
「で、これからどこに行くんだい?」
それで、俺はなぜ歩いているのか聞いてみる。
「ま、ちょっとしたきれいな湖があるんだ、ちょっと見せたくてね〜。」
小町は上機嫌で進んでいく。
俺は仕方なく着いていくことに。
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「うわぁ――。」
俺は度胆を抜かされた。
夕焼けが沈みかかっていた頃、俺は目的の湖に着いた。
その途中に川も流れていたが、その川の本当に綺麗で、まさに透き通っている感じだった。
だが、この湖は違った。ここも、先程と同様に水は透き通っていた。透き通ってはいるのだか、表面がやたらきらきらしている。まるで、結晶がその湖の上を舞うように。
「すごい…綺麗ですね。」
「でしょ?ここには氷の妖精が遊び場として使っている場所なんだ。だからいつもこの湖の表面を氷の結晶が舞っているわけってことさ。」
なるほど…わかりやすい。氷の結晶が舞っている……それがこんなにも綺麗だとは思わなかった。日本にも見習ってほしいものだ。この湖は綺麗すぎる。
すると、小町は近くの木の下で寝転び始めた。
「ここでこうやっているだけで、本当に心が落ち着くんだ。試しにひゅうもやってみなよ。」
俺は言われるがままに、小町の隣で同じように腰を下ろした。
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この場をもって、どうも様。春雨様。勝手に名前を使い、申し訳ございませんでした。
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