しんとする空間。
窓から差し込む昼間の光。
カリカリと俺の後ろでメモをしている警察官。
そして目の前には
「いやぁ、いい天気ですね!!」
緑髪の彼女はニッコリとした顔をこちらにみせている。
それには俺も「はぁ。」とイマイチな相槌で返してしまった。
お見合いとはこんな感じなのだろうか。
「………。」
「………。」
沈黙が走る。
何も言えない。
何もできない。
何もしてないのに後ろの警察官はカリカリと何かを書いている。
「あ、あの。」
切り出したのは彼女だった。
名前は四季姫山さんだったような。
「き、今日の件についてはあなたはご存知ですか?」
少々緊張気味な彼女。
雰囲気で感じ取れたが、おそらく彼女は弁護士としてはまだ駆け出しなのかもしれない。
所々口ごもってしまっている。少々この人に弁護してもらうのが不安になってきた。
「き、今日の件についてですか? 恥ずかしながら自分の罪も知らないもので。」
今日弁護士が来ると言うこともさっきはじめて聞いた。何かを隠しているみたいだった。
それにしても罪人が自分の罪をしらないと言うのもおかしな話。なんで俺は自分の罪をしらないのだろう。
「その、俺の罪は一体なんの罪に囚われているのでしょうか?」
「え、う、その……。」
弁護士の四季さんは内容を知っているはず。むしろ知っていない方がおかしい。
この機会に知っておくべきだと思う。
何故、俺は囚われているのか……。
「え、と、あの、ですね。」
しどろもどろしている四季さん。何をしているんだろう。
気のせいか、監視カメラを気にしているみたいにも見えた。
おもむろに頭をポリポリする四季さん。かなり不自然だ。
「あの、よく聞いてください。」
俺は固唾を飲んだ。
「……あなたは今、殺人の疑いで逮捕されている事になっています。」
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Extra.D
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「状態を維持、心拍数正常を保て!」
指示を送り、現場へと向かう。
白衣に着替えながらドアを開ける。
そこには心臓マッサージを行っている姿を心配そうに見つめる四季姫山が立っていた。
はたから見ると父の様態を見守る少女のようだった。
「やはり発作は起こったか。」
彼女を慰めようと近づき、声をかける。
「すいません、私の所為で……。」
余計に心配をさせてしまったようだ。
元はと言えばこの計画は俺の独断による計画だった。
北柳彪にはまだ罪を報告していなかった。
それは、彼に負担を掛けたくなかったからだ。
そうしてまた意識停止の状態が続く寝たきり生活にさせるのもひどい話になる。
だが現にそれ以上の最悪の結果になってしまっている。
この状況をどうしたものか……。
「……本来なら、向き合っていかなくてはならない真実なのだ。」
そう、本来なら、だ。
だがこの患者、北柳彪は入院中に意識不在の時に不審な動きをした記録が残っている。
異例な記録を残している以上、彼に障害を与えるようなことはしたくなかった。
出来るならば、彼にはこの罪を知っては欲しくなかった。
「……彼の、戦いでもあるのですね。」
彼女は、泣き出しそうな瞳で彼を見つめていた。
「支えるのも、弁護士の仕事ですよね。」
ひとつ、皮が向けた瞬間だった。
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Extra.D END
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この暗い空間
覚えている
ここはそう
俺が行き詰まったときに来るところだ
そして
自分を見つめ直す場所でもある
『聞こえるかい?』
でたなもう一人の自分
もうこの声が自分の声だということはわかった
そして自分の中にもう一人の自分がいるということも分かっていた
『よかった、聞こえているみたいだね。』
ああ聞こえているさ
今度は体全身が視える
足もしっかり見えているが地にたっているということは感覚としては分かりかねる
しかしなぜだ
何故に裸なのだろうか
『ありのままの自分、ということさ。』
あんまり納得行かない
『君は自分を覚えているね?』
ああ
今回は気分がいい
なんにでも思いだ出そうな気もする
『ようやく準備ができたんだ。おめでとう。』
褒められることではないと思う
『だが残念だ。今は本体が両方とも深手を負っている。今は片方にしか入れないけどね。』
どういう事だ
『それは教えられない。そもそも君は気づいていることだ。問題はそこではない。』
引っかかるが問題はそこじゃないのか
『今、君自身がなくなりつつある。もっと自分を思い出してみてくれ。』
おかしな話だ
自分の体が自分じゃなくなるらしい
けど俺も素直な男だ
なんの疑いもせずに『ジブン』と言うものを思い出してみる
自分 自分 自分
じぶん じ ん じぶ
よし
思い出せたぞ
俺は
『やはり少し早かったみたいだね。けどもう時間もない。そのまま行ってもらうよ。』
なんなんだ
いきなり頭が引っ張られる感覚に―――
「―――っ!!」
痛みで目を覚ます。
見たことのないような天井に、少し奥に虹のようなステンドグラスの壁がキラキラと輝いていた。
「――ここは?」
きょろきょろと首を回すと首に激痛が走った。
何事だと思って手で首をなぞると微妙なガーゼの感覚。
そして今更気づく。
俺の身体全体が包帯で巻かれていた。
「―――。」
自分の姿を見て激痛が走り意識が遠のく。
腹部と腕に赤い斑点が見えた。おそらく血なのだろう。
意識が曖昧ななか、足音だと思われる音が聞こえてきて、ゆっくりと聞こえる方に顔を向ける。
「あら、お気づきになられたのかしら。そろそろ本格的に起きてきそうね……。ふふっ、安心して。あなたはしゃべれなくても私には伝わるから―――。」
何を言ったのか殆どわからないまま、重いまぶたを閉じる。
。
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