本編2 ★4
男「あ……あの……」

風邪「……? ……っ! (い、いつの間にか扉が開いて……!)」

男「……ど…も……どちら様……ですか……?」

風邪「どちら様……ええっと……(考えてなかった……! 正体を打ち明ける訳にもいかないし……どうしよう、何て言ったら……)わ、私は……(何かいいアイディア、何か……)」

男「……?」

風邪「(い、一か八かだ!)私は……隣の者です!」

男「……はあ……」

風邪「(とんでもない嘘をついてしまった……!)」風邪「そ……れで……ですね……。あの……(足が震える……声も……。どうしよう、男さんに嘘がばれたら……)最近……激しく咳き込む声が頻繁に聞こえたんですが……廊下で姿を見かける事もなかったので……もしかしたら、外出もままならない程体調が悪いのかと心配になってて……」

男「……」

風邪「(な、何も答えてくれない。疑われてる…! 気持ち悪い奴だと思っているのかも……!駄目……怖い……この場から逃げ出したい……)あの、それで迷惑かと思ったんですけども……これを……」

男「……」

風邪「(男さん本当に何も言ってくれない…! どうしよう……泣きたくなって……)」

男「……あの……」

風邪「はい……」

男「すいません……頭がフラフラして……話をよく聞いていなかったんですけど……」

風邪「……えっ?」

男「あなたは……お隣さんで……見舞いに……。何だかボーっとして……。俺……どうしたらいいんですかね……?」

風邪「えーっと……(意識が朦朧としてる……?)」

風邪「そ、そうですね……。とりあえず、これを受け取ってみたら宜しいんじゃないですか……?」

男「はあ……受け取るんですか……。そうですか……」

風邪「ええ、是非受け取って下さい!」

男「どうも……ありがとうございます……。管理人さん……でしたっけ……?」

風邪「隣の者です……。それじゃあ失礼します」

男「さようなら……」



タッタッ…

風邪「(ここまで離れればもう大丈夫……)ふう、びっくりしたけど受け取ってもらえて良かった……。きっと、男さんが考える事もできないくらいフラフラになっていたから受け取ってもらえたのね。私としては凄く助かったけど、男さん大丈夫かな……?」

男「……ゴホゴホ…(あれ、頭がフラフラするのが治ってる。さっきは外の空気にあたったから体が冷えたのか……?……まあいいか)」風邪「そういえば、どうして男さんの体調が急に悪くなったんだろう……? 私は何もしていないはずだし……なぜ……?」

男「(今度はヨーグルトとレトルトのお粥が入っている。あ、また清涼飲料水もある)」

風邪「……私はパニック状態だったから、男さんの体調をどうこうするどころじゃ……」

男「(腹もへったし、早速食べるか)」

風邪「……うん? 私がパニック状態、そして男さんは体調が悪く……」

男「(よし、温まった。いただきます)」

風邪「…………あれっ?」

風邪「わ、私だ! やっぱり私のせいだ! 私のパニックが結果として男さんの体調に影響を与えちゃったんだ……」

男「(うまい……。お粥がうまいと思うなんて、本格的に風邪ひいてる証拠だよな……)」

風邪「ご……ごめんなさい! 男さんごめんなさい! 無意識のうちの行動とはいえ、体調を悪化させてしまうなんて……私、何やってるんだろう……」




男「(ごちそうさま。さーて、そろそろ寝るか)」

風邪「男さんには酷い事をしてしまったけど、そのおかげでお見舞いを渡せたのは事実だし……。男さん、今回だけは許して下さい……。次から私、もっとしっかりしますから……」

男「ゴホゴホ! (昼間も寝たからな……寝れるかな……)」

風邪「男さん、また風邪薬飲み忘れてる……男さーん……」
男「ゴホッ! (うおっ、また急に風邪薬の事を思い出したぞ……。俺って本当に運がいいんだな……)」

風邪「良かった……」

男「(そういえば、さっきの人は隣に住んでいるんだよな。頭がフラフラしてたから深く考えずにお見舞いを受け取ってしまったけど、左右どっちの隣だったんだろう。しかも、見ず知らずの俺にお見舞いだなんて……。まあ、悪い人には見えなかったから大丈夫か)」

風邪「男さん、おやすみなさい……」

男「ふわ……(布団敷くのめんどくさいな。コタツでいいか)」





風邪「また男さんにお見舞いを持ってきてしまったけど、気持ち悪がられたりしないかな……。どうか受け取ってくれますように……」

コンコン

風邪「…………? 男…さん?」

ガチャ……

風邪「(男さんが出てきた……! また私がパニックをおこしたら男さんの体調が悪化してしまうから、冷静に……冷静になって……)」

男「ゲホゲホゲホ! こ、こんにち……ぐっ! ゲホゲホ!」

風邪「(何でーーーーーー!?)」


風邪「(どうして風邪が悪化しているの……? 私がパニックをおこしてないのに……)」

男「ゴホゴホ!」

風邪「だ、大丈夫ですか!?」

男「あまり……大丈夫じゃないです……。コタツで寝たら体調が……ゴホゴホ!」

風邪「(コタツで……。ああ! 昨日油断しないで男さんが布団に入る所まで見守っていれば良かった……)」

男「うう……」

ズルズル

風邪「ああ! 男さん、しっかりして下さい。そんな所に座り込んじゃ駄目です!」

男「すいま……せん……立っているのも辛くて……」

風邪「(男さんをこのままにはしておけない……。私が男さんを助けないと!)」

男「ゴホゴホゴホ!」

風邪「お、男さん……私が肩を貸しますから、お部屋まで戻りましょう!」

男「 ……え?」
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