紫との戦い 続



「……行くぞ。」



私は、右腕に魔力を集中させた。

ほんのり、その魔力のおかげで右腕はピンク色の光りを輝かせている。



そして、右足に力を入れ、精一杯の力を込めて、地を蹴った。



およそ、10mの間合いを一気に詰めようと、素早く近づこうとしたのだが、やはり、一筋では通れなかった。


目の前の彼女の後ろから、いくつかの怪しげな揺らぎを見せる物が浮いており、その浮遊物が揺らぎをなくして静止をしたかと思うとそこから鋭い光線がこちらに向かって放たれてきた。


どうやら、浮遊物と思ったものは彼女なりの「ゲート」で、おそらく、異次元へとつながっているのだろう。


私は、すべてを避けきると、すぐに彼女の懐に……


「ぐっ!」


いけなかった。


どうやら、後方からの攻撃で、私は思わず動きを止めてしまった。


そして、止まってしまったが最後、彼女は弾を撃ち続けた。


レーザーみたいに直線の光線は、何よりも貫通力に優れていると見た。これには私の防御壁は簡単に貫かれてしまうかもしれない。


だが、私とて手段がないというわけではない。この防御壁を「反射壁」にすれば……



「あら、動かないと危ないわよ。」


すると、少女は何を思って微笑しているのかわからなかったが、すぐにその意味がわかることに。



彼女の横の空間から、大きな柱がぬぅっと顔を出している。見るからに石で作られたような風格を出している。



おそらく、先ほど妹紅と戦っているときに私の行く手を阻んだものと同じものだろう。その柱は頭でも優に私の身長を越えるものだった。


これではいけない、反射壁はおろか、防御壁や、身に纏っている防御壁も簡単に割れてしまうだろう。



「ふふ、どうするのかしらね。」



彼女は楽しんでいるようだった。まだこのくらいは序の口と思わせるほどの余裕っぷりだ。


そうして彼女は、石柱を放った。そんなに早くはないが、人を潰すには十分な速度だ。


どうするもこうするもない。ここは





攻撃モードしかない。



私は右手に魔力を溜めた。先ほどの後方からの攻撃の痛みが少々残っているが支障はないはず。


今度は両手に同じように魔力を集める。しかし、色が違ってくる。


威力としては右の方が威力を高めてある。そのためか、右手は赤く、左手は緑に輝いている。



おそらくだが、あの石柱を避けようとすると、少々のレーザーに被弾しながらも、上空に出ることができるが、その少々のレーザーに怯んでいる隙に相手は致命的な一撃を放つだろう。


もっとも、この石柱を破壊しても同じかもしれないが。


私は、正面から迫る石柱に向かい、左手に溜めた魔力で石柱の勢いを和らげると、もう片方の魔力の拳で石柱の真ん中を握りこぶしを作りフックのように殴った。



ずむ、と地が揺れるような音を響かせ、石柱に皹を入れさせる。


とどめと言わんばかりに、私は右足に力を入れ、右手で柱を押し返すように力を入れる。



どうせ、この後も攻撃されるのだから、その前に攻撃をしてしまおう。


その拳から、石柱には決定打ともいえる、先ほどまで少女が放っていたようなのと同じレーザーを打ち込む。


当然、そのレーザーは、石柱の中を突きぬけ、少女に当たるはず。仮に避けられたとしても、追跡弾なので、少々てこずらせればいいほうだ。


と、石柱がミシ、と皹の亀裂が大きくなり、もうすぐ崩れるだろう。そろそろ、飛び出す準備をしないと。



そう思い、右足に力を入れる。


「弱い幻覚。貴方、それでも本当に魔法使い?」



ぞっと背中に寒気がしたのは何年ぶりだろう、私の背中は誰かに触れられている。



そうだ、何故気付かなかったのだろう。相手が異次元の使い手なら『その術者もその異次元に入ること』だって容易いだろうに。


いま、その使い手の右手は私の背中に触れている。


これはまさに生と死の別れ際なのだろう。急に私はあたり全体が冷たい空間に入ったかのように、全身に冷気が走りわたった。



そして、全身が言うことを利かない。まるで無重力のようだ。



そう、ここが『次元の狭間』である。



どうやら、私は彼女の『ゲート』の中に入ってしまったらしい。



やれやれ、想像以上にできる相手だった。これは少々見くびっていた。



いくら『異次元の狭間』と同じ能力があるとはいえ、相手は女性、能力に長けてないと見くびったのがまずかったな。



さて、これはどうしたものかな……




「やれやれ、これで何回目だろうな。」





私は、思わずため息を出してしまった。



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匿名読者
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