森の奥深くにて2
 

 


「へぇ……あなたも何かしら力があるみたいね…」


目の前で浮いている少女は私の右手を見て何かを悟ったみたいだ。

これは少しばかり手こずりそうだ。


いま、右手に溜めているのは「防御反射盾」。簡単に言うと相手の攻撃を跳ね返す防御型の魔術だ。


まぁ、私の戦いにおいては身体全体に防御魔法をかけているのだが、それほど自分の力には陥ってはいない。ちゃんと守れるときは守っておこう。


「……私も、嫌われたものだな。」


「えぇ、貴方のような人はここに来てはいけないのよ。」



そんな会話をしている暇もなく、相手はこちらに向かって光った弾を撃ち始めてきた。


青白く光る玉をよく見ると、正体はなにやら紙のようなものから光りが出ているみたいだ。


よくは知らないが、確か「陰陽師」というものが「符」というものを巧みに使い悪霊等を消滅させていると聞いたことがある。


だが、目の前の少女がそうだとは決めがたいが、同じようなものだろう。


私は右手にて溜めていた力を解放をする。右手を前に出すと、その右手の周りに彼女の弾幕と同じ青白い光りを見せる。



そして、迫る弾をパンという音と共に見事にはじき返すと、青白い弾は近くの木々に当たって、消滅した。



「――!」


「悪いな、そこら辺の並大抵のものとは思わないほうがいい。」


私も、彼女のような弾を放てないが、攻撃手段としては方法がいくつかある。


今回は無難に簡単な魔術を使うことにしよう。


私は再び右手に力を込め、相手に向かって手を広げる。


すると、その手の周りが光りだし、次の瞬間、そこから流れるように弾が放たれる。


これは簡易魔術中の中でもっとも単純な攻撃方法で、主に名前は付けられていないが、あえて言うなら「魔矢」と名づけよう。


「私は、本当に危害を加える気はない。」


これは本当だ。私は霧雨魔理沙を連れて行くのが任務なのだ。


それ以外の戦闘は避けたかったのだが、こうも初っ端から戦闘になるとは。私もついていないものだ。


交渉しても無駄だろうと思うが、一応してみる。


しかし、目の前の少女は本格的な戦闘はしていないようだ。隙を度々見せているところがある。

まぁ、それには深夜帯と言う事もいえるが、戦いにおいてはそれも命取りになってしまうであろう。


「――危害を? わからない? 貴方そのものがここに危害をもたらしているのよ。」


私の放った弾を避けながらも、あちらも弾を放っていく。この戦闘においては特化しているみたいだ。私の攻撃はどうやら当たらなさそうだ。今度はホーミングでも付けてみよう。


なるほど、私のような者が入らないようにあのような結界を張ってここ幻想郷を守っていたのか。それを壊し、進入した私そのものが危害なのか。


ふむ、では、早々と話を付けたいところだ。


しばらくすると、私の弾も消え、相手は勝機と見たのか、急にこちらに視線を向け、両手を広げると、横からなにやら丸い弾が飛び出してきた。


「ふふ、私が追い返してあげる!」


すると、横から取り出した丸い球からも弾が放たれてきた。

しかも、先ほどとは桁違いの弾数だ。これが弾幕といえよう。それに、案外ゆっくりで、早めに避けないと、その無数の弾に囲まれてしまい、避けられなくなるだろう。


と、先を読んで素早く避けると、彼女自身が弾を放ち、私を狙撃するに違いないだろう。


もはや、相手の意表を衝く行動にでなければ、私は傷つくことになるな。


まぁ、この程度の弾幕なら、自律防御魔術が私を守ってくれるのだがな。



「どう?避けられるかしら?」


彼女の発言には、余裕染みた声が入っている。


私は、少しだけ力を出すことにした。


―――――――――



「悪いな。」




私は、瞬間移動術を使用した。


私のいた所から空中のここまで約15メートル近くの距離はあったが、このくらいの移動は、身体にも負担は掛からない。


「え?」


相手は、意表を衝かれた様子でこちらに振り返ろうとしていた。


だが、これ以上戦闘を続けるわけにも行かない。


それに、口も利いてくれなさそうなので、仕方ないが実力行使にでた。


私は、振り返る寸前の彼女の目の前で閃光をはしらせた。


彼女は怯み、腕で目元を隠すが私はその隙に首の裏を叩いた。


彼女はそのまま意識を失い、落下していった。


その落下の前に私は彼女の腕をつかんだ。

彼女はもう意識がない状態だった。


私はゆっくりと降りていき、彼女をそこに寝かせてあげた。


何か上にかけるものはないかときょろきょろ探していると、私が来た逆の方向から人の気配が近づいてきた。


それも一人ではない、二人だ。



「あらあら、こんな森で何をしているのかしら、お客さん。」


「そうだな、お客さんにしちゃあ、ちょっと態度が悪いんじゃないか?」



私は振り返ると、そこには、夜間なのに傘を広げている者と、白髪の赤いサスペンダーを着た者が、明らかにこちらを敵意している。



どうやら、また戦闘が始まるらしい。


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匿名読者
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