「何故に沖川さんが一話タイトルを!?」 by賢次
今日も生徒会室は平和だ。

「おわぁーーーー!」
「おわぁ!ジェンガ倒れたぁ!」

………。

あー…。

なんだよ永田…。

床にばらまいちまったじゃねぇかよ…。

ジェンガの…。

ジェンガの…。

ジェンガの…。

何て言うんだ?

このジェンガを構成する小さいのは?

「何やってるんですか先輩~?」
「え、俺?永田?どっち?」
「あ、奥田会長ですよ」
「華奈江ちゃん、主語をちゃんと入れような」
「あ、すいません」

さて、と。

床にジェンガがばらまかれた。

片付けないとな。

「なぁ華奈江ちゃん」
「…はい?」
「ちょっとそこのジェンガ拾って見て?」
「あっ、はい」

華奈江ちゃんがジェンガを集めて行く。

あ…スカートでそんなしゃがみ方したら…。

…見える?

見えそう…。

見え…無いな、やっぱり。

……実はこのギリギリ感を狙っていたとか?

…まさかな。

「これでいいですか?」

俺の机の上に、大量の木片が置かれる。

やっぱりジェンガは木製だな。

「ありがと。ところで、ジェンガってこれ全部でジェンガじゃん?」
「そうですね」

俺はジェンガを構成する小さい木片を一つ、掴み上げる。

「これ一つだと何て呼ぶか…わかる?」
「…えっと…あれ?」
「やっぱわかんないよね」

なんか…普通にジェンガで構わない気がしてきた。

「あ!ところで私がジェンガを拾った意味あったんですか?」

……。

ねぇ、俺、コケて良い?コケて良い?

今それ聞くのかよ!

「いや…って永田は何してんだ?」

ジェンガにすっかり気を取られていたな。

永田が生徒会室を出る寸前に、呼び止められて良かった。

「ん?何って…帰るんだって」
「永田は今日なんか用事あったっけか?」
「別に理由なんて言わんでえんじゃね?」
「ウォーズマンが無理に理由をとっちめてくるから、何か適当に」

最近、ウォーズマンが厳しい。

意味も無く早期帰宅する俺が悪いんだそうだが。

正直、ウォーズマンには消えて欲しい。

ラーメンマンを植物超人にしやがって…。

違うな、これは元ネタだ。

「なぁ…淳」
「なんだよ突然…?」
「ウォーズマンって誰だ?」

本日二回目だが…。

俺コケて良い?コケて良い?

え?ウォーズマンってこの生徒会のみならず学年共通語句じゃないの?

「ウォーズマンは副会長の岡嶋先輩の事ですよ~」
「…………岡嶋?そんなヤツ居たか?」

何気にお前はヒドい。

多分…お前は俺よりヒドいと思うぞ、うん。

「…もうウォーズマンの事は良いからはやく理由!理由!」
「……あ、俺今日ピラメキーノ見ないといけねぇんだって!」
「…それは大変だ!」
「あっ、でも奥田会長、今五時ですよ?」

うっわ~華奈江ちゃん、たまにこういう所に突っ込みたがるからな…。

確かにピラメキーノは平日の六時半からだが…。

「華奈江ちゃん、永田はピラメキーノを見る為に…やらなければならない事があるんだ…」
「生徒会の仕事ですか?」

グフゥッ…。

そういう切り返しは無しだろ…。

「いや、永田はピラメキーノを見る為にとある滝で身を清めた後、他にもまぁいろいろとしなければならないんだ…」
「………」

さ、さすがにこの言い訳は苦しかったか…?

華奈江ちゃん…少し震えてるし…。

「…………そ、それは大変ですね…!」

え、ええぇ~!

し、信じちゃうの!?

てか、信じちゃうの!?

今のはガキでもダメだと一発でわかるパターンだぜ!?

それをこの子は…恐ろしい子!

「ごめんなさい永田先輩。華奈江が引き止めて良かった事じゃないんですね…」
「わ、わかってくれたらいいんだよ…う、うん」

おっと~さすがの永田選手も困惑気味だ~。

良心の呵責が、永田選手を襲う~!

「ほっ、ほっ、本当にごめんなさい~。なっ永田先輩は…はっ早く行ってくだ…ください…」

…あーやっば…華奈江ちゃん泣き出しちゃったよ…。

天然というかピュアって言うか…。

「………」

…おい、こっち見んな永田。

「………」

見んなつってんだろ!

「………」

あの野郎…俺の意見届いてねぇな…。

「な、永田先輩~!先輩のしっ、仕事も華奈江がやっ、や、やっときますか、から。は、早く行ってください~!」
「おん!?おおう」


さぁ永田…どうする?

「………」

だから…こっちみんな!

「………」

拳を突き出して…。

ほう…親指を立てて…グッ!…か…。

「…またな!」

永田は生徒会室を飛び出して行った。

………。

あの野郎…!

さっきのグッ!は幸運を祈るのグッ!かっ!

さぁどうしたものかな…。

「なぁ。なんでか永田が血相変えて飛び出し…て…いっ…た…よ?」

開いた扉から、森下が顔を出してきた!

さて、ここで問題だ。

部屋には男女二名。

女の方は泣いており男は狼狽している。

更に目撃者は現場から血相を変えて走り去る男を目撃済み。

クエスチョン。

俺は果たして無罪でこの部屋を出られるでしょうか?

判決です!

「…何してたの…淳?」

はい、目が据わってます!

たった今、俺の死刑が確定されました!

釈明の時すら与えられません!

「…覚悟は…いい…?」

…阿呆な事考えてる場合じゃないな。

どう…逃げる?

後ろには窓があるがここは二階だ。

下はコンクリ。

下手すりゃ死ぬ。

華奈江ちゃんが落ち着くのを待とうにも、その頃にゃ俺は…土の下で一服してるな…。

よし。

「覚悟は…出来た?」
「うぉりゃぁぁぁ!」
「うぇ…え…うえぇ!?」

強行突破。

しかも囮付き。

泣いたままの華奈江ちゃんを、俺は森下に向けて突き飛ばした。

突然の事にたたらを踏んで転げそうになる華奈江ちゃん。

そんな華奈江ちゃんを咄嗟の判断で抱き留める森下。

「なっ…あっ!こら淳!」

俺は華麗に二人の横を走り抜ける。

…まだ…俺は人生終わりたくないんだ…!

さて、生徒会室と呼ばれる処刑場は脱出した。

次は隠れ場所だな。

なら…あの場所しか無い!

俺は走る。

走るうちにふと思う。

…こんな気分なんだろうな…。

バイハ4で趣味の悪いデカい石像に追いかけられるレオンの気持ちって…。

「なぁ賢次!」
「……はぁ?」
「いやだからさ」
「待て待て。ここは卓球部の部室だ」
「そんぐらいわかる」
「ここは生徒会室じゃないぜ?」
「ここを生徒会室だと思う馬鹿はいねーよ」

体育館の如何にも不必要そうな部屋を使っているせいだろうか。

薄暗い卓球部の部室。

その中で賢次と二人、顔を見合わせる俺って…。

「なぁ賢次、一ついいか?」
「…なんだ?」
「男二人、顔を見合わせてるのって相当キモいよな」
「…誰のせいだと思ってる?」
「永田」

俺は諸悪の根源を答えただけなのだが…何故か賢次はコケている。

優しい俺はもちろん声をかけてやる。

「どうした?変な病気か?」

賢次はおもむろに立ち上がった。

…どう見ても笑いを堪えている。

「く…くく…また面白そうな事に巻き込まれてるな」

ああ…そういやそうだ。

永田は俺たちの中でもいろんな意味で有名だ。

特に、永田が主導した授業妨害事件は今でも先公の間で語り継がれている。

…まぁ俺も、結構協力したんだがな。

「ま、いいや。俺に実害がなけりゃ」
「害がないよう努力はする」
「そうしてくれ。お前を匿ったからってウォーズマンに部費を減らされたら困る」
「了~解。部活頑張れよ~」
「お。お前も適当には帰れよな」

そう言って、賢次は部活を出て行った。

…そして俺は重要な事を思い出した。

「鞄…」

生徒会室に置いてきた鞄…どうしようかな?
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匿名読者
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