幻覚・一 ★2
 今、俺は寝室にいる。

 突然深夜に目を覚まし、いきなり尿意を感じたのだ。

 俺は夜中の内は寝室を出たくない。
それには勿論原因が存在する。
 こんなことを言うのは少々気が引けるが、妄想力がとてつもなく強いのだ。
 そのせいでよく幻覚を見ることになってしまい、俺の妄想力は一段と力をつけて逞しくなってしまった…。
 自分の部屋の扉を開けようとすると、扉の向こう側にただならぬ恐ろしさを感じた。
 恐る恐る開けて見ると目の前には大きく目を見開き、耳に届きそうなほど口が裂けている頭だけの浮遊物がいた。
 それは俺の視線の先で愉快そうに気持ち悪く口を歪めてニタニタ笑っている。
 俺はそれに今まで感じたことのなかった恐怖を覚えて、無意識に息を飲み込んだ。
 これは幻覚だ、怯えるな。
 そう自分に言い聞かせて目をつぶる。
 深呼吸を何度か繰り返すが、体が震えてうまく深呼吸をすることができない。
 落ち着け…あれは幻覚なんだ…!
 体の震えを収まらせずに無理矢理目をすこしずつ開いていった。 そこには、家の真っ白な壁以外にはなにも映っていなかった。
 俺はすこしだけ安堵したが、そんな気持ちより恐怖心のほうが何倍も強く心に残っていた。
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匿名読者
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